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本校は金沢市の北部に位置しており、明治13年1月に開校し、昨年度創立130周年を迎えている。全校児童は375名、教職員は22名である。校区は、昔ながらの商店街や住宅地が地域の大半を占め、近くには卯辰山や浅野川があり自然環境に恵まれている。金沢の観光名所である東山茶屋街に近く、また古くから寺院群があり、寺詣でのお茶会が盛んに行われてきた。和菓子店、金箔店などがあり伝統的な産業が根付いている地域である。
昨年度、ユネスコスクールの認定を受け「地域の文化・自然や人との絆」をテーマに、地域の素材・題材を開発・教材化し、体験学習を取り入れた学びのプロセスを重視して持続発展教育の実践に取り組んできた。

1 ユネスコスクールとしての取組
3年 「発見 和菓子のひみつ」
〜知る・体験する(和菓子づくり、お茶会など)・広める〜
7月1日、氷室の日に氷室まんじゅうを食べる風習を調べることで、「夏を元気に乗り切りたい願い」や「氷室の氷を献上した歴史」があることを知った。和菓子の歴史・種類を調べていく中で、「お雛祭りの金花糖や五色生菓子など、金沢にしかない和菓子があること」「和菓子には、人々の幸せになりたい思いや願いがこめられていること」「季節や行事に合わせて、色や形、図案が工夫されていること」などを学んでいった。
また、図工科では「創作和菓子づくり」の活動を設定して、季節や思いにあった色・形・表し方を工夫して紙粘土で制作し、教科との関連を図った。
紅葉の秋には、自分でつくったお抹茶碗と和菓子で、お茶会を校区の寺院で行った。秋の深まりを味わい、地域文化のよさを感じ取り「和菓子の消費が日本一である金沢」の人々の思いや生き方にふれ、自分たちもこの和菓子に込められた思いを大切にしていこうという気持ちを育むことができた。学んだことは「和菓子新聞」「和菓子集会」で家族に伝える活動へとつなげていった。
金箔体験教室「金沢箔で飾る皿づくり」の制作から、「紙より薄いこの金箔はどうやってつくるのだろう?」という疑問を持ち、探究的な学びを展開していった。安江金箔工芸館では、箔打ち用の和紙づくりには浅野川が大切な水源となっており、右岸に位置している森山校区には、金箔を打つ職人さんが多くいたことを学んでいった。
そして、10000分の1ミリメートルの薄さにまで箔打ちをする技術の素晴らしさと仕事に誇りをもっている職人の姿に感動しながら学びを深めていくと同時に、稀少伝統産業となりつつある事実を知った。金沢箔を継承していくために、行政の支援・資金の補助制度があることや金沢箔をインテリアに活かす「箔デザイナー」の方との出会いから、未来へ向けて夢をつないでいく授業を実践した。学んだことを伝えるために、「金箔で学んだこと」をストーリーにしたマンガ、「金箔の素晴らしさ」を伝えるチラシを製作し、観光地である東山茶屋街の金箔店(箔座)に置かせてもらうなど、子どもたちは積極的に活動をつなげていった。「金沢箔」という伝統文化を大切したいと願う子どもの姿がみられた。
〜知る・見る(麩の工場見学)・考え行動する(創作レシピ)・広める(H
Pづくり)〜
麩は金沢の郷土食品である。校区近くにある宮田麩工場を見学し、工場に立ちこめる美味しい匂いや、できたての「麩」のおいしさから、「麩を使った創作レシピを考えて作ってみよう」との意欲へつなげていった。うまみ成分を吸う麩の特質を活かし、保護者や宮田さんの協力を得て、「麩のフレンチトースト」「トマトスープ麩」など子どもが考えた創作料理に取り組んでいった。ここで実現した創作料理はHPで紹介していった。この学びは6年生での「加賀野菜を利用した給食献立を考える」の学びへとつながっていった。また、宮田麩社長さんの、「食に対する信念」や「食の安全」についての話を聞く中で、郷土食品を大切に守ることの素晴らしさと大変さを知った。宮田麩のように「安全な食品を提供することが使命である」と言い切ってくれる食品工場が郷土金沢にあるということを子どもたちは、誇りに感じることができた。
知る・体験する(卒業証書台紙作り)・考え
る・伝える(HPづくり・韓国との交流) 〜
本校では、6年生が加賀友禅の卒業証書台紙づくりに取り組んでいる。卒業式には、自分の加賀友禅の卒業証書を持ち、中学校への決意や将来の夢を語る。子どもたちは、まず「加賀友禅とは何か?」を調べ、草花などを写実的な絵柄にし、「ぼかし」や「虫喰い」といった独特の技法を用いた、品格のある染め物であることを知る。また、浅野川で行われる友禅流しは、金沢の風物詩となっていることなどを学んでいった。
次に全工程のうち、青花下絵、糊置き、彩色、中埋め、友禅流しの5つを友禅の先生方に教えていただきながら、体験した。作業は細かく集中力が必要であることから、職人さんの苦労に気づいたり、加賀友禅の仕事に誇りを持つ作家の生き方にふれたりすることができた。
さらに、生活スタイルの変化から着物の売れ行きの減少・後継者不足などの厳しい現状を知ることで、自分たちが今、できることは何かを考え、加賀友禅の素晴らしさをHPで作成し伝えていった。
また、PCスカイプで韓国の伝統衣装(チマチョゴリ)デザイナーとの交流を行い、両国の伝統衣装の魅力を紹介し合い、その良さを後世につないでいくことを学んでいった。加賀友禅の学習を通し、地域の文化や人との絆を強め、伝統文化を大切に思う心を育むことができた。
2 成果と課題
・森山の地域にある伝統産業や地域文化を全学年で教材化した。教科との関連を図ったESDカレンダーを作成し、継続的に学習できるカリキュラムとすることができた。また、評価規準を示し学習のねらいを明確にしたことで、学びの軸がぶれることなく、昨年とは違った視点での学習展開を試みることができた。
・職人さんに出会い、そのすばらしい技を見たことや、誇りを持って生きる姿にふれたことから、自分の生き方を見つめ直すことができた。
・後継者不足などの厳しい現状を知ることで、時事的な問題に対して「自分たちが今、できることは何か?」と探究的な学びへとつなぐことができた。4年生では「金沢箔の素晴らしさを伝えたい」との思いが子どもたちの中に生まれた。観光客の人にもっとその良さを伝えたいとの思いから、金箔店に手作りのチラシやマンガを置いて欲しいと主体的に行動した。学びが広がり、金沢箔以外の伝統文化ももっと調べてみたいとの思いが育っている。
・海外の伝統文化に携わる方との交流を通して、どの国にも大切に守るべき伝統文化があることを知り、金沢の「地域の文化や人との絆」を大切に思い継承することの大切さを再認識できた。
・今後は「学びの発信」での交流の機会を増やし、交流相手の感想や質問を通して子どもたちが新たな課題や疑問を持ち、学びをより一層広げていける姿をめざしていきたい。また、教師自身も広い視野で題材への理解と認識を深めることに努めていきたい。