金沢市立中央小学校

[はじめに]
 本校は、金沢市中心部の児童数減に伴い、旧長町・長土塀・松ヶ枝町・芳斉町の4つの小学校を統合して昭和62年に創設された。現在、全校児童は557名、教職員は34名である
 校区には、金沢市民の台所である近江町市場、市民芸術村や玉川子ども図書館などの文化施設があり、加賀藩政期の面影を残す長町武家屋敷群や尾山神社などをはじめとする歴史的文化財も数多く現存する。また、学校の周囲には、鞍月用水・大野庄用水が流れており、ホタルをはじめとして、様々な水生生物を観察することができるなど、教育資源に恵まれた地域である。
 今年度、ユネスコスクールの認定を受け、豊かな教育資源を活用した持続発展教育に取組んでいる。

           出会い 発見!
        〜歴史の息づくまち 美しい環境を未来へ〜

1 ユネスコスクールとしての取組

本校は、地域の人・ものとかかわりながら、そのよさに気付き、自分を見つめ直す学習を通して、自ら考え判断し行動する力と豊かな心を育むこと、地域の環境に関心をもち、調査等を通して地球環境を保全し持続発展可能な社会づくりの担い手を育成することをねらい、中央タイム(総合的な学習の時間)を中心に学習・活動を進めてきた。

 第3学年では、「レッツ・ゴー近江町〜加賀野菜の秘密を探れ〜」をテーマに、農業センターや近江町市場の見学などの活動を通して、加賀野菜の秘密を探った。農業センターの見学で知った加賀野菜の特性や生産の工夫、それらにかかわる人々の努力、加賀野菜を地元にも観光客にも広めようとする近江町市場の人々の様子など、加賀野菜の生産から消費までを連続して調査することで、加賀野菜を守り発展させようとする人々の努力について知ることができた。また、まとめたことを保護者に向けて発信する機会をもつことで、学校での学習を家庭生活につなげることができた。
テキスト ボックス:  
3年 保護者に向けて発信
 第4学年では、「金沢の伝統文化」をテーマに、金沢の伝統工芸品やそれに携わる職人の方の努力について調べた。金沢伝統工芸館の見学や、金箔、水引、和傘、加賀毛鉤など、自分の興味ある伝統工芸について調べる活動を通して、金沢には長く受け継がれてきた多くの伝統工芸があることに気付いていた。また、加賀友禅の職人の方から友禅に対する思い、仕事の楽しさ、厳しさを聞き、実際に染付を体験することで、技を長く受け継いできた人々の努力と金沢の文化の豊かさを感じることができた。
 また、「学校のまわりの用水」のテーマで環境教育にも取組んだ。ホタルの幼虫を放流することで、用水の環境について目を向け始めている。来年度、第5学年の用水の環境調査・水生生物調査・環境保全活動につなげていく予定である。
テキスト ボックス:  
4年 加賀友禅染付体験
 第5学年では、「ホタルのすむ用水」をテーマに、学校の周囲を流れる用水にホタルの幼虫を放流する活動をきっかけとして、用水の環境について考え、水質や水生生物の調査、用水の掃除などを行った。これらの活動を通して気付いたホタルの生態について新聞にまとめたり、きれいな用水を保つためにポスターを制作して協力を呼びかけたりしながら、用水の環境を守ることの大切さを全校に広めた。 テキスト ボックス:  
5年 ホタルの幼虫の放流
 第6学年では、第5学年の時から続けてきたビオトープの改修を完成させた。また、「加賀百万石の歴史を探ろう」をテーマに、金沢に残る文化施設調査を通して、加賀百万石の歴史の重さを実感していた。
 その他にも、全校で給食後に少量の水で牛乳パックを洗い、それを乾かしてリサイクルする活動を年間通して行った。牛乳パックはトイレットペーパーにリサイクルされ、校内で使用している。また、児童会を中心にアルミ缶リサイクルにも取組んだ。収集したアルミ缶は、福祉施設に寄付した。さらに5年生が中心となってペットボトルキャップの収集を行った。週に1回各クラスに集めに行く、収集箱をつくる、収集量をポスターにまとめて知らせるなどの工夫をしながら、全校に協力を呼びかけることができた。
テキスト ボックス:  
6年 金沢城見学

2 成果と課題

金沢の伝統文化について調べたりまとめたりする活動を通して、地域や地域の文化、歴史、伝統に目を向け、自分たちの地域やふるさと金沢には誇るべき歴史や伝統が息づいていることを知ることができた。また、用水の水質調査、ホタルの幼虫を放流する体験、金沢の街中に再びホタルが飛び交うことを復活させようと街づくりを行っている活動について話を聞くことなどを通して、多様な生態系を維持していることや、地域の環境が様々な人の努力によって守られていることを知ることができた。
 これらにより、自分たちの身近な地域には脈々と受け継がれてきた伝統文化、伝統工芸、人々によって守られてきた環境があることを意識しながら地域を見つめ直すことができるようになり、地域への理解が深まり、郷土愛を抱くようになってきた。また、ニュースなどで話題となっている様々な問題についても、自分の身の回りの事象や生活と結びつけながら考えることができるようになってきた。さらに、過去と現在の地域の様子や伝統文化・工芸の変化などについて調べたり、それらを支え伝えてきた人々の努力を知ったりすることを通して、「これから自分たちにできることはないか。自分たちがすべきことは何か」と未来に目を向けることもできるようにもなってきた。
 しかし、取組んだことや学んだこと、例えば生物の多様性について、さらに掘り下げて調べたり考えたりすることや、資料やデータを見直し、整理・分析しながら自分なりの観点をもってまとめていく活動などについてはまだ十分とはいえない。自分の伝えたいことを、相手意識をもちながら説得力がある成果物にまとめ、発信できるような豊かな表現力の育成については、国語科など他教科との関連をさらに図り教科横断的に進めていかなくてはならないと考えている。
 また、発信については、今年度は各学年内の交流にとどまることが多かった。より目的意識をもって活動を進めることができるようにするためにも、他学年、他校との交流を積極的に進めていくことが今後の課題である。